[この記事は Adam Dawes、プロダクト マネージャーによる Google Developers Blog の記事 "Introducing the Google Identity Platform" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。]

アイデンティティはアプリを構成する重要な要素のひとつです。新しい機能を開発する際、最優先ではないにしろ、認証を適切に備えることは極めて重要なことです。多くの開発者が、ユーザーがパスワードを忘れてアプリを使用できなくなるような事態に対処するよりも、効率的で安全に製品を使ってもらいたいと望んでいます。 Google Identity Platform は、ユーザーがサインインするあらゆるステップを円滑にするためのデベロッパー ツール集です。Smart Lock for Passwords、Google Sign-In、Identity Toolkit をご紹介します。

新規機能: Smart Lock for Passwords で自動的にサインイン

SmartLock はご利用の Google アカウントに備わったパスワード マネージャーです。Android アプリに自動的にサインインできるようになり、Chrome で閲覧するウェブサイトのクレデンシャルを自動的に入力してくれます。これを使うことで、パスワード クレデンシャルを思い出して入力する必要はなくなります。

Google はまず Android で、この SmartLock を API にして、アプリ開発者やパブリッシャーに提供します。Android 開発者は、プログラムでクレデンシャルを保存、取得し、複数の端末で、また Chrome で閲覧するウェブサイトで、ユーザーが自動的にサインインできるようにします。Eventbrite、Orbitz、Netflix、Instacart、New York Times、そしてまもなく LinkedIn、といった企業が Smart Lock for Passwords を採用し、自動サインイン機能を提供開始します。

新しいアカウントのサインアップや初回のサインインの際、SmartLock にパスワードを保存する選択肢がユーザーに提示されます。ここで保存するとその次から自動的にサインインできるようになります。
Smart Lock for Passwords はどのように自分のアプリやサイトで機能するのでしょうか。あらゆる端末でログイン情報が認識され、事前入力されたものとして扱われます。ユーザーがサインインしたり情報を入力してサインアップしたりすると、その後使用するためにパスワードを保存するかを確認するメッセージが表示されます。これを許可すると、使用している Android アプリや Chrome のウェブサイトでパスワードをまた入力する必要がなくなります。結果として、新規ユーザー、既存ユーザーどちらもアプリやサイトへのサインアップやサインインの割合が増えます。

またこれは、ユーザーが新しいデバイスを購入したりアクティベートしたりした際に、簡単にアプリをダウンロードして適切なアカウントでサインインできるようになるということを意味します。アカウントを再度取得したり、パスワードを忘れた場合の手続きをしたりする必要がなくなります。

Smart Lock for Passwords を導入すると、ユーザーがパスワードを保存すれば、他の端末で自動的にサインインできるようになります。

既に Smart Lock for Passwords をご活用いただいているパートナーの実例を次に示します。Android アプリや Chrome で表示したウェブサイトの例をご確認ください。
  • Eventbrite では、SmartLock を容易にアプリに導入してテストを行い、サインイン済みユーザーの数を増やしています。Eventbrite のシニア プロダクト マネージャーの Atul Kakkar 氏は、これはサインインが「パーソナライズされたイベントの発見と、シームレスなチケットの購入を可能にしてくれる」ためだ、と述べています。
  • Instacart の Android エンジニア、Maksim Golivkin 氏は、「SmartLock によってサインインが非常に早くなり、ユーザーがあらゆる端末で情報を入力する手間が省けています。多くの人々が Instacart についてモバイルやデスクトップのウェブで見て、それからアプリをダウンロードしています。サインイン情報が保存されることで、ユーザーが食料品をさらにすばやく注文できるようになっています。SmartLock の導入は、お客様の時間の節約にとても有効で、その時間を買い物に使っていただけます」と述べています。
  • Netflix では Smart Lock for Passwords を活用することで、ユーザーのサインイン時間を増やし、リビングの Android TV などを含めあらゆるデバイスでコンテンツをさらに楽しんでいただけるようになっています。パートナー エンゲージメント ディレクターの Rob Caruso 氏は次のように述べています。「さまざまなデバイスでユーザーを認証する際の手間を極力省きたいと考えています。SmartLock は大画面で特に有効です。というのも、大画面でのサインイン情報の入力はモバイルや PC よりもはるかに面倒だからです」
  • 定期購読者のためにサインインを簡単にする以外にも、 New York Times ではSmartLock を使ってデバイスをまたいだ操作性の向上に取り組んでいます。Android マーケティング マネージャーの Rachel Kirscht 氏は次のように述べています。「私たちにとってこれはリピート率向上の施策であり、アプリの登録やサインイン使用率を向上させる取り組みの一環といえます。Smart Lock for Passwords はユーザーの利便性を劇的に向上できます。ログインしたり登録したりしていただける読者は定期購読もしていただける傾向にあります。複数のプラットフォームで閲覧いただくとこの傾向がさらに高くなります」
  • Orbitz にサインインしていただくと、多くのメリットがあります。 たとえば、別のデバイスで行ったトラベル検索にすぐにアクセスできたり、最小限の入力で効率よく予約できたりします。旅行中、サインインしていただいているユーザーにはフライトの遅延やゲートの変更などを知らせるプッシュ通知が送信されます。Orbitz.com にデスクトップでサインインしていただくと、こうしたメリットをアプリで自動的に受けることができます。SmartLock をお使いいただくことで、サインインの手間が省かれ、サインインすることのメリットを実感していただけます」と Orbitz の製品戦略シニア ディレクターの Ryan Kowalczyk 氏は述べています。
  • ベータ パートナー LinkedIn のビジネス デベロップメント副社長 Bob Rosin 氏は次のように述べています。「Google の SmartLock 導入パートナーとしてご一緒でき、わくわくしています。LinkedIn の既存メンバーにとってもログインがさらに簡単になりますし、新規ユーザーのサインアップ プロセスが効率化されます」
今年の後半には、 同期パスフレーズのサポートや、他のプラットフォームでの Smart Lock for Passwords API のサポートなど、新しい機能を提供していく予定ですので、ご期待ください。

Google Sign-In を使った信頼性の高い登録システム

Google Sign-In は、ご自分のアプリやサイトに、Google のユーザーやサービスをつなげる安全なゲートウェイです。ユーザーが既に Gmail、Google Play、Google+ などの Google サービスで使用している Google アカウントを使ってサインインできるようになるため、ログインの手間が省かれます。New York Times では、Google Sign-In を実装した直後に新規登録ユーザー数が月ベースで 20% も増加しています。

Identity Toolkit で認証ツールをまとめて実装

Identity Toolkit は、堅固でさらに安全な認証システムで、アプリに応じて適切なサインインをサポートします。Identity Toolkit は電子メールとパスワードの認証だけでなく、Google や Facebook などの Identity Provider もサポートされます。技術的な複雑さもなく、簡単な設定の変更だけで今後のサインインのオプションを追加したり、既存ユーザーを移行したりできます。Identity Toolkit をご活用いただけば、ご利用の認証システムをプラットフォームに応じて簡単に適用できます。

Google Identity Platform をお使いいただくことで、ユーザーのサインインをシンプルにし、アプリやサイトをさらにパーソナライズされた魅力あるものにしていただければ幸いです。ドキュメントは developers.google.com/identity をご覧ください。

Posted by Eiji Kitamura - Developer Relations Team