VP9:より速く、高画質で、バッファ不要の YouTube 動画
2015年5月28日木曜日
[この記事は ソフトウェアエンジニアの Steven Robertson(最近視ているのは "St. Lucia - Before The Dive." )による YouTube Engineer and Developers Blog の記事 "VP9: Faster, better, buffer-free YouTube videos" を元に、山口が翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。]
ますます多くの人が、さらに高画質な動画を、より多くの画面で視聴するようになっているため、使用する帯域幅を増やさずに高解像度を提供できる動画フォーマットが必要になっています。そのため、私たちは YouTube 動画を VP9 でエンコードするようになりました。VP9 はオープンソースのコーデックで、他の一般的なコーデックが使用する帯域幅の半分で、ハイビジョンに加えて 4K (2160p)画質も再生できます。
VP9 は現在広く使われている中で最も効率のよい映像圧縮コーデックです。昨年 1 年間だけでも、YouTube ユーザーが再生した VP9 動画は 250 億時間を超えており、そのうち数十億時間分の動画は、VP9 による帯域幅効率の向上がなければ HD 画質で再生できなかったでしょう。VP9 の再生に対応する端末も増えているため、この技術を簡単に紹介したいと思います。
VP9 はそれまでのコーデックと基本原理は同じですが、動画再生の品質をバイト単位で高めるために、WebM チームがさまざまな改良を施して完成させました。たとえば、VP9 のエンコーダーではよりくっきりした画像の特徴が優先して処理され、VP9 コーデックでどのような画像でも鮮明でブロックノイズなく、連続再生できるように非対称変換が用いられています。
Janelle Monaé を通信速度 600Kbps で VP9 と従来の H.264 変換で視聴した場合の質の違いを次の画像で比べてみてください。
帯域幅に制限があったり、データ使用量による従量課金プランを使ったりしている人にとっても VP9 はメリットがあります。ビットレートを約半分に削減することで、再バッファしたりかける費用を増やしたりすることなく、360p の画質を視聴できるユーザーの数が劇的に増加します。
自身の VP9 コンテンツを制作する詳細については、FFMpeg encoding guide や Adobe Adobe Premier WebM プラグイン をご確認ください。
Posted by Yoshifumi Yamaguchi - Developer Relations Team
ますます多くの人が、さらに高画質な動画を、より多くの画面で視聴するようになっているため、使用する帯域幅を増やさずに高解像度を提供できる動画フォーマットが必要になっています。そのため、私たちは YouTube 動画を VP9 でエンコードするようになりました。VP9 はオープンソースのコーデックで、他の一般的なコーデックが使用する帯域幅の半分で、ハイビジョンに加えて 4K (2160p)画質も再生できます。
VP9 は現在広く使われている中で最も効率のよい映像圧縮コーデックです。昨年 1 年間だけでも、YouTube ユーザーが再生した VP9 動画は 250 億時間を超えており、そのうち数十億時間分の動画は、VP9 による帯域幅効率の向上がなければ HD 画質で再生できなかったでしょう。VP9 の再生に対応する端末も増えているため、この技術を簡単に紹介したいと思います。
VP9 の仕組み
動画の情報量は膨大です。カメラセンサーが撮影に使うフォーマットと同じフォーマットで動画を保存するとしたら、そのファイルはとてつもない大きさになります。4K RAW 動画は最大 18,000 Mbps になるでしょう。現在の動画圧縮技術では、撮影されたシーンに含まれる特徴をコード化し、その特徴の動きと変化を追跡することによって、カメラセンサーではなく人間が見るように動画を捉えます。この圧縮はカメラセンサーによる録画に比べて数百倍効率がよく、おかげでビデオストリーミングが可能になりました。VP9 はそれまでのコーデックと基本原理は同じですが、動画再生の品質をバイト単位で高めるために、WebM チームがさまざまな改良を施して完成させました。たとえば、VP9 のエンコーダーではよりくっきりした画像の特徴が優先して処理され、VP9 コーデックでどのような画像でも鮮明でブロックノイズなく、連続再生できるように非対称変換が用いられています。
Janelle Monaé を通信速度 600Kbps で VP9 と従来の H.264 変換で視聴した場合の質の違いを次の画像で比べてみてください。
高品質な動画視聴を実現
この新しいフォーマットは、すぐに視聴できる高品質でバッファ不要の動画という目標に、すべての人を一段階近づけます。つまり、従来は YouTube でバッファなく最大 480p までの動画しか見ることができなかったインターネット接続環境でも、VP9 のおかげで滑らかな 720p の動画が見られるようになりました。帯域幅に制限があったり、データ使用量による従量課金プランを使ったりしている人にとっても VP9 はメリットがあります。ビットレートを約半分に削減することで、再バッファしたりかける費用を増やしたりすることなく、360p の画質を視聴できるユーザーの数が劇的に増加します。

4K 動画の世界へ
(本稿の著者を含め)常によりよい画質を求める人にとって、急成長しつつある 4K 動画への世界を開く鍵が VP9 です。実際、VP9 は動画サイズが大きくなると、これまでのコーデックよりもさらに効率がよくなるため、すでに多くの YouTube 視聴者が 4K コンテンツを途切れずにストリーミングしており、その数はますます増えています。YouTube にアップロードされた 4K 動画は昨年 1 年間で 3 倍になり、VP9 のおかげで将来を見据えたストリーミングの改善を計画できるようになっています。検索フィルタを使うと 4K 動画を探すことができます。また、このおすすめプレイリストもご確認ください。VP9 を利用できる端末
Google パートナーの各種端末メーカーのおかげで、現在では Chrome ブラウザ、Android 端末(サムスン Galaxy S6 など)、テレビやゲーム機(ソニー、LG、シャープ)などで VP9 のデコーディングがサポートされています。2015 年以降、業界全体で 20 を超えるパートナー各社が VP9 に対応する製品を発売する予定です。自身の VP9 コンテンツを制作する詳細については、FFMpeg encoding guide や Adobe Adobe Premier WebM プラグイン をご確認ください。
Posted by Yoshifumi Yamaguchi - Developer Relations Team