[この記事は Chrome のソフトウェア エンジニアである Adam Barth が Chromium Blog に投稿した "Blink: A rendering engine for the Chromium project" という記事を元に翻訳・再構成しています。詳しくは元の記事をご覧ください。-北村]

WebKit は 2001 年に KHTML として登場した軽量かつパワフルなレンダリング エンジンです。その柔軟性、パフォーマンスと、考え抜かれたデザインから、Chromium のレンダリング エンジンに採用されました。コミュニティの協力により、WebKit はそれ以降、ウェブ プラットフォームの進化し続ける可能性と共に成長してきました。

しかしながら、Chromium は 他の WebKit ベースブラウザーと違い、マルチプロセス アーキテクチャを採用しているため、WebKit プロジェクトと Chromium プロジェクトはここ数年複雑化の一途を辿ってきました。これにより、全体的なイノベーションの速度が低下してきたことは否めません。そこで本日、WebKit ベースの新しいオープンソース レンダリング エンジン Blink をご紹介します。

この決断は容易ではありませんでした。新しいレンダリング エンジンの登場はウェブに多大な影響を与えるであろうことは明白です。それでもなお我々は、複数のレンダリング エンジンが存在することは — 複数のブラウザが存在することと同様に — イノベーションを促進し、長期的なオープン ウェブのエコシステムを健全化していけると確信しています。

短期的に見ると、Blink はウェブ開発者の皆さんに大きな影響を与えることはありません。 当初の作業の大部分は内部的なアーキテクチャの改善と、コードベースの簡素化に費やされることになります。例えば手始めに、7 つのビルドシステムを取り除き、450 万行からなる 7,000 以上のファイルを削除することができると考えています。長期的には、より健全なコードベースは、安定したバグの少ない実装に繋がると考えています。

今回の移行に際し、我々はウェブの進化を促すべく、他のブラウザ ベンダーと密接に協力し、エコシステムを成功に導いてきた互換性を今後も守っていきます。この目標を達成するため、標準に準拠していること、相互運用性があること、テストに通ること、透明性があること、を強調した新機能のガイドラインも設けています。

Blink について詳しくはプロジェクト ページをご覧ください。