Posted by 山崎富美 Developer Relations Team


今年のエイプリルフールで大人気を博した Google マップ 8 ビットについて、ソフトウェアエンジニアの野村達雄にインタビューを行いました。





なお、Google マップ 8 ビットをご存知ない方はこちらのブログ記事をご覧ください。「ファミコン版 Google マップ 8 ビットができました。




Q: このプロジェクトを思いついたきっかけを教えてください。

A: 社内でエイプリールフールのアイディアを募集してた時に、何かできないかなと考えたのがきっかけです。私は学生の時に FPGA でファミコンを実装したことがあって、結構ファミコンには思い入れがあります。今時の最新のゲーム機よりもファミコンみたいなドット絵な雰囲気が好きなんです。それでマップがドラクエ風になったら面白いと思ってすぐにデモを作ってみたんです。それを社内の Google+ に投稿したら大反響だったので、これはいけると思いました。

Q: その後どんどんプロジェクトが広がって、世界中で愛されるようになりました。


A: 最初は 20% プロジェクトのつもりで始めたのですが、いろいろ作りこんでいたら楽しくなってついつい全力を注ぐようになりました。最初の 1 か月は 1 人で作っていたのですが、期限も迫っていて、1 人ではとても間に合わないので沢山の同僚にヘルプをお願いしました。

プロジェクトは社内でも大好評で、日本だけに留まらずグローバルでプロジェクトを進めることになったり、マップだけの予定だったのがストリートビューのチームが 8 ビットのストリートビューを作ったりと、どんどん広がっていきました。

Q: それでは、実際の開発のプロセスを教えてください。


A: 最初のデモは Google Chrome の拡張機能 で作りました。画像は HTML5 の Canvas で描いています。



その後 8-bit Google マップ として、Google マップのインフラを使って改めて作り始めました。Chrome 拡張による画像処理だけではできないことができるようになりました。例えば道路や山などのマップ上のものの種類ごとにマッチするテキスチャを適応するのは画像処理ではほとんど不可能だったのですが、できるようになりました。




これは初期バージョンですが、 拡大するとこんな感じです。道路にだけに砂のテクスチャが適応されてるのがわかるかとおもいます。



v0.4 はこんな感じ。植物のデータがかなり細かくなってきているのがわかると思います。




県名や市町村名などのラベルが製品版と違っているのですが、実はそこはすごく苦労しました。実際のドラクエには町にラベルはありませんから、いかに「それっぽく」するのか最後の最後まで調整に苦労しました。

Q: いろいろな場所のランドマークがありましたが、あれは実は Google 社員に呼びかけて作ってもらったのですよね?


A: はい。ランドマークのグラフィックは、すべて世界中の Google 社員が作って投稿してくれたものです。なので Google のオフィスがある所の近くはランドマークが充実している気がします。全部で 120 種類ほどあって、デザイナーに限らずエンジニアやプロダクトマネージャーなどの方も大勢協力してくれました。面白いランドマークの 1 つに「パンダ」がいるのですが、これはデザイナーの川島さん(*1)が描いてくれて、世界中パンダのいる動物園すべてに置きました。UFO やネッシーなどもそれを描いてくれた方のアイディアで、楽しんでくれた方も多いかと思います。
(*1 ウェブマスターの川島優志)



Q: ランドマークは 120 個もあったんですね。モンスター探しに夢中になった方も多いと思いますが、あれは全部でいくつぐらいあったのですか?

A: ドラクエ 1 のモンスターが全種類いますので、40 種類ですね。竜王とスライム以外は複数箇所にいるので、数ではもっと多いです。公開してから 1 時間ほどでほとんどのモンスターが見つけられたのにはびっくりしました。もう少しわかりにくくしても良かったかもしれないですね。また、気づいた方も沢山いると思うのですが、ドラクエ 1 のラスボス「竜王」は緯度・経度が 0 度のアフリカ西部の大西洋上に置いいて、ズームすると変身するように特別の仕掛けをしました。

ランドマークやモンスター以外にも、コントローラーやペグマン、街の印など、たくさんのドラクエ風のグラフィックを作りました。





ドラクエ風の Doodle も作っています。




   
Q: 技術的に工夫したところを教えてください。

A: いっぱいあるんですが、機密事項が多いので残念ながらあまりお話できません。強いて言えば、プロモーションビデオの中に登場するファミコンの回路図を見て、わかる方は「おっ」と思ってくれると思います。「*Google Disc System」みたいな技術ネタも随所に散りばめました。

*ファミコンのディスクシステムにかけたネタ

Q: 最後のフィーチャーはローンチ 30 分前に思いついて、速攻で作ってローンチしたとの噂ですが。。。

A: 最初は竜王も普通のモンスターと同じように置いていたのですが、最後の 1 か 2 時間にそれはいかんと急に思いたって竜王だけ特別にしました。今思うと、王様やローラ姫も登場させればよかったかなと少し心残りです。

Q: 大変だったことはなんですか?

A: 公開まで時間が限られていたので、かなり忙しくてすべてが大変だったと思います。中でも、プロモーションビデオの撮影が大変でした。実際に僕が登場するのはそんなに長くはないのですが、慣れない撮影とナレーションには苦労しました。また社内に公開した直後に自分にバグが 100 個以上アサインされたりとそれを直すのにも苦労しました。大変ではありましたが、とても楽しかったです。協力してくれた方もみんな楽しんでくれたと思います。そして一番大事なのは世界中のユーザーの皆さんが喜んでくれたことです。僕は去年新卒で入社したばかりなので、Google のプロダクトはこれだけ世界にインパクトを与えることができることを実感しました。

ありがとうございました。